ヒステリー球の症例

目次

1 精神的緊張や、不安で喉が苦しくなったり、唾がのみこめなくなる

患者

10代男性

症状と来院理由

半年前に、肉を喉に詰まらせて以来、固形物が食べられなくなった。少し症状が改善したが、学校でストレスがかかることがあり、食べられなくなった。精神科にも通院している。現在は、飲み物とチョコレートを少しだけ食べるだけである。

喉の真ん中に詰まった感じがある。緊張すると唾がたくさんでてくる。ネットで調べ、来院。

治療内容と経過

初診:不安感と緊張が強い。喉の中央に異物感、喉の左側にギューッとした感じがある。

触れると、首の後ろと、胸鎖乳突筋に強い緊張があり、触れると本人も嫌がる。手と、肩甲骨内側のツボに鍼をした。症状にその場で変化は見られなかったが、緊張感が強いため、鍼の本数はできるだけ少なく、施術時間を短くする方針にし、鍼は3本で施術を終了とした。

2診:プリンも、ゼリーも食べられるようになった。身体も気持ちも喉も、楽になったとのこと。異物感は喉の中央ではなく、右側に違和感があるとのこと。胸鎖乳突筋と、肩をゆるめるため、手、お尻、背中に鍼をした

3診:違う種類のプリンが食べれるようになり、量も増えた。同様の施術をする

4診:唾が出ても食べれるようになった。前は唾が出たら、食べるのを嫌がっていた。喉の左に違和感がある。ふくらはぎ、背中、足先にはりをしたところ、喉にあった違和感はなくなった

7診:うどんが食べれるようになり、唾が飲み込めるようになった。食事の量も増えて、安定してきている感じがする。首肩喉の緊張を手足のツボをつかってゆるめると、喉の異物感はなくなる。

8診:喉の症状はないときもでてきている。あっても、以前より苦しい感じは少ない。唾を吐く回数も少ない。

10診:ドーナツをたくさん食べられた。

11診:カレーや、ケーキを食べられた

12診:ラーメンを食べられた

14診:ハンバーガーが食べられた。喉の症状がでるときもあるが、食べられるものはどんどん増えてきている。かなり良い状態である。精神負担もあったため、完治まで焦るつもりはなく、本人のマイペースを守りながら施術を継続したいとの、保護者の意向もあり、施術を継続している。

考察

精神の緊張や、不安が首肩を緊張させ、喉の異物感や、つまり感を作っていたものと考えられました。からだの緊張をゆるめることで、心もリラックスでき、良い方向に向かった症例でした。

2 喉全体に圧迫感があり、固形物がつまりそうで怖くて食べれない

患者

40代女性

症状と来院理由

1か月前より、食事中、食後に喉つまり、違和感、胸つまりが起こるようになった。現在は、食事中以外も常にその症状がある。2週間前、体調を崩した際に、喉全体を圧迫されてる感じになった。唾をのんだり、下の付け根を押すとおえっとする。痰がからんでいるようで、喉が詰まるように思うと固形物が食べれない、飲み込めない。やわらかいものを何分もかけてゆっくりやっとたべられる。病院では、問題ないと言われ、薬によっては症状が悪化した。病院以外の方法を探し、来院。

治療内容と経過

肩こり、首こりの自覚があった。

初診:身体に触れると、首から背中につながるラインに強い緊張があり、背中の一部分を押すと、喉にウっとくる。のどの緊張も強い。喉、背中をゆるめるために、手と足先のツボにはりをした。少し、唾がのみこみやすくなった。

2診:初施術当日、次の日は、喉の症状が少し強く出た。(身体がバランスをとる過程で、良く起こることです)4日後ぐらいから、「食べたい」気持ちがでてきて、固形物を食べることができた。症状は2割ほど軽減した。首を下に向け、斜め右に向くと左の首がピーンとはるため、改善するために、足首、手、足先のツボに鍼をした。

3診:喉の違和感が一日の中で、70-20と変動するようになった。痰の回数は減ってきている。食事も麺類がゆっくりなら食べれるようになった。

4診:生理があり、体調が崩れると喉の症状も悪化した。首の動きをよくする治療と生理痛の治療をした。

5診:体調が回復するとともに症状も改善し、食べれるもの、食事量も増えてきた。鎖骨の間につまりがでてくると、喉の症状がでてくる。鎖骨間を緩めるために、手に鍼をした。首を前に倒すのは良いが、後ろ斜めに倒すと喉が張るため、お尻に鍼をし、改善をした。

6診:すごく改善し、ゆっくりならごはんが食べれるようになった。前回同様、首を後ろに倒した時の喉の緊張に対して、お尻と手に鍼をした。

8診:3食、喉を意識せずに食べれる日も増えてきた。8割ぐらい戻ってきている。食後の違和感も半分ほどに減ってきている。

同様の施術を続けて17診で、食事は普通に戻ってきている。生理による体調不良により、喉の違和感がでたりするので、継続して月1回の施術を続けている。

考察

元々あった首肩こりが、生理時期により強くなり、それが喉の緊張に影響していたと思われる症例でした。おなかの緊張を緩めて、生理時に強い緊張をおこさないようにしたことが、改善につながったと思います。

肘を骨折した後、喉の詰まり、痰のへばりついた感じ

患者

60代女性

症状と来院理由

喉仏の上から顎の下にかけて、喉つまり、ヒリヒリ感、痰がへばりついた感じが半年前からある。Bスポット療法を2週間に一度、5、6回したら良くなったが、2、3週間したら喉の調子がまた悪くなった。Bスポットは続けているが、3ヶ月ほど症状は良くならない。上咽頭はもう綺麗で、後鼻漏れもあまりない。以前、胃がんになっており、胃が変形している。そのせいで逆流性食道炎のせいではないかと診断されるが、逆流性の症状はない。首周りが張っている感じがある。食後、とくに調子が悪くなる。

治療内容と経過

初診:半年前に右肘を骨折しており、そのせいか脇から首の前、首の後ろがとても硬い。お腹も冷えている。手足、膝横、足先と鍼を5本した。首の突っ張る感じが消え、お腹があったかくなり、唾を飲み込めるようになった。週1の施術をすることにしました。

2診:前回施術後、つまり感が全体の下の方はなくなり、上の方だけになった。上になった分、少し苦しさは減った。次の日、痰はあるけど、キレがよい。胃もたれを感じる。その次の日は胃もたれや喉の調子が良くなる。数日後、胃の調子が悪くなり、喉も戻る。首の前と横がとても張っている。緩めるために、手足、背中に鍼をした。喉の上の、つまりが軽減した。

3診:前回施術後、4日間すごく調子がよかった。詰まったとしても、以前よりは楽だった。胃の調子も1週間良く、家族からも食が進んでいるねと言われた。首の前が張っている。骨折した肘の動きをよくするために、背中にはりをしたところ、のどがとても楽になり、症状がなくなった。

4〜7診まで、同様に施術後4日ほど調子が良いが、特定の日に喉の調子も首の張りも悪くなるので、よく思い出していただくと、肘のリハビリ後に首肩がはり、喉の症状がでることがわかった。リハビリを調整してもらうと、良い状態が長く続くようになったため、通院を週1から間隔を開けていき、治療を終了とした。

1ヶ月後、非常に調子が悪くなり来院された。鼻風邪を引いた後、体調を崩し、逆流性食道炎の症状がでて喉が苦い。喉がしめつけられ、食事がとれない。ふらふらとした眩暈、吐き気もある。からだをみると、おなかがつめたく、特にみぞおちあたりが非常に冷たくなっている。背中とお腹を緩めるために鍼をした。来院時、食事も取れておらず、つらすぎて無表情で顔色も悪かったが、施術後、喉の締め付けが緩み、「まだ少しふらっとはするが、来た時よりはずっとよく、ご飯が食べられそう」と笑えるぐらいになった。

2診:前回終了後、調子が良い日、悪い日が交互にあったとのこと。声がかすれている。めまいはひどくないが、下を向くとふわっとする。お腹がやはり非常に冷えている。お腹のために、足に鍼をしたところ、おなかがぽかぽかとして、声がでるようになった。鼻水も止まっている。

3診:めまいはかなりよくなった。喉の調子はかなりよくなり、調子の良かった時に戻っている感じがある。ただ、食後に胃がムカムカして、喉が調子が悪くなる。時間が経つと良くなる。

4〜6診:同様のお腹をあたためる治療を繰り返す。食後、調子悪くなりづらくなり、胃薬も飲まなくて良い状態になったため、施術間隔を開けることにしました。

考察

右肘の骨折、胃腸の調子、鼻風邪など、複数の原因が絡んで喉の症状をおこしていた難しい症例でした。内科、耳鼻咽喉科、胃腸科、それぞれの先生の診断があり、患者さんも迷っておられました。喉の症状が出た時期、状態が悪化した日に行ったことなど、良くお話をしていただいたこと、様々な症状にアプローチできる鍼治療ならではの柔軟性が改善につながったと思います。

喉の違和感と吐き気で食事がとれない

患者

20代

症状と来院理由

中学生の頃からずっと喉に違和感はあったが、食事は取れていたので問題はなかった。3ヶ月前に、職場で色々あり、喉の違和感がでてきた。食べた時に鎖骨の間に食べ物がつまる感じがして怖い。段々、小ネギ・小エビ・ごまなど小さい固形物が怖くなる。ここ1、2週間は麺類も引っ掛かってる気がして怖くなり、食欲もわかず、飲み物とゼリーしかとれていない。喉の違和感のせいで、吐き気がある。元々胃腸は弱く、食べたらすぐおなかいっぱいになる。胃も調子が良くない。喉の上の方に、ほこりの塊があるような気がする。

治療内容と経過

初診:お腹がとても緊張が強く、くすぐったがられる。おなかをゆるめるために、手と足に鍼をしました。ほこりのある位置が上に動いた感じがするとのことでした。週一の施術をすることにしました。

2診:喉の上に常にあった違和感と吐き気は若干、緩和した。施術2日後、なんとなく調子がよくて、おかゆを食べられた。鎖骨に引っかかる感じはなかったが、喉の上には引っかかる気がして気持ち悪くなり、吐き気がした。首の緊張もつよかったため、ゆるめるために手に鍼をし、おなかをゆるめるため、足に鍼をした。

3診:鎖骨の間の方は大丈夫で、喉の上だけになった。痰が出そうで出ない感じがする。まだ食事をとるのは怖い。喉周りをゆるめるために、手首と足先に鍼をした。施術後、「少しいい気がする」飲み物を飲んだらつまりが少しいい感じがするとのことでした。

4診:前回の次の日から、そうめんや細めの麺だと引っかかる気がせず、恐怖心が薄れ、食べることができた。喉に誇りは常にあるが、吐き気ではなくなり、違和感になった。施術を始める前よりは、全然よいとのことです。

5診:同様の施術をしました。

6診:膝下がとても冷えていたので、ふくらはぎの緊張を緩める鍼をしました。喉が楽になった気がするとのこと。辛い時にお風呂に入ると楽になったりするとのことでしたので、セルフでのお灸をおすすめしました。

7診:食事で食べれるものが増えてきた。じゃがりこや、からあげなど自分の好きなものが食べられるようになってきた。

8診:3日前に熱中症になり体調を崩した。症状も戻ってきた。背中の張りがつよかったので、ゆるめるために鍼をしたところ、「このままだったら良いのに」というほど喉が楽になった。

9診:喉の違和感はあるが、大きさが小さくなった。気持ち悪くて食べられないは減った。食べれるもので1人前は食べている。胃の調子もだいぶ戻った。

10診:良くも悪くも同じような状態だが、昔から喉の違和感はあったので、食事がとれるようになったので、元の状態までは戻ったということで施術を終了しました。

考察

お腹の緊張と、耳の下から鎖骨につながる胸鎖乳突筋には関係があります。ストレスでお腹が緊張し、胸鎖乳突筋を緊張させることで、鎖骨の間に食べ物がはさまりそうな恐怖感が生まれたのかなと思います。足にはお腹のツボがたくさんあり、その足の緊張を緩めたことで、お腹の緊張が改善し、吐き気の改善、食事が取れるようになったのかと思われます。

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