更年期・生理痛(月経困難症)・PMS(月経前症候群)の症例

1.1日10回、上半身だけ汗をかくホットフラッシュ

患者

40代女性

症状と来院理由

1か月前から、突然上半身だけ汗をかくようになった。1日10回にも及ぶ。そのころから、月経過多もでてきた。病院では、ホルモン値などは問題なかった。首肩こりもあり、はりに通ったことがあったため、来院。

治療内容と経過

初診:お腹を触ると、全体的に硬く、冷えがあった。首肩こりもあった。首肩こりとお腹を共通してやわらかくするために、手と足首のツボにはりをした。腹部の温まりと、柔らかさ、首肩こりの軽減を確認して、施術を終了とした。

2診:施術2日後ぐらいから、ホットフラッシュが徐々に収まってきた。お腹の硬さも以前ほどではない。ホットフラッシュは、1日3回あるかないかまで激減した。同様の施術をする。

3診:ホットフラッシュは一日1回あるかないかになり、治ったような気がする。首肩こりも気にならない。同様の施術をする

4診:ホットフラッシュの状態は良い状態がつづいている。症状が安定しているため、同様の施術をし、通院を終了とした。

(通院間隔は、一週間に一回。)

考察

お腹が硬くなっていて、冷えが生じていた。首肩の緊張もあり、全身の熱の循環がうまくいってなかったと思われる。腹部と首肩がやわらかくなったことで、熱の循環が改善し、汗として噴き出す必要がなくなったと考えられる。

2.夜3,4回寝汗で目覚めるホットフラッシュと、不眠

患者

50代女性

症状と来院理由

3,4か月前からホットフラッシュがひどくなった。2か月前から夜に、ホットフラッシュの寝汗で3,4回目覚めるようになった。ひどいときは、1時間しないうちにまた起きる。寝れていないため、睡眠薬を服用している。寝てはいると思うが寝てる気がしなく、疲れがとれない。病院で、プラセンタの治療を受け、日中のホットフラッシュの回数は減ったが、夜は減らないため、来院。

治療内容と経過

初診:頭と首の境目に強い緊張がある。お腹にも硬さがあった。頭痛もあるとのこと。首とお腹の緊張をとるため、ふくらはぎと、足首のツボに鍼をした。腹部の柔らかさを感じていただき、施術を終了とする。

2診:前回施術の次の日より、夜の汗が減った。起きる回数は2回ほどと半減。多少寝れている感じがする。前日に頭痛があり、薬を飲んだがまだ続いているとのこと。前回同様の施術に加え、頭痛を改善するために手に鍼をして、肩の硬さをゆるめた。「首肩回りがゆるみ、お腹がぐぉーっと動き出した、頭痛もなくなった」とのこと。

3診:寝汗で起きることが1回あるかどうかになった。眠れているので、疲れが残らなくなった。日中のホットフラッシュが起きなくなった。睡眠薬を飲み忘れて、寝れた日も出てきた。同様の施術をする。

4診:ホットフラッシュの症状は安定している。「睡眠薬を飲まずに眠る」ことに目標を変え、施術を続ける。眠りやすくするため、背中の緊張を緩める、呼吸を深くできるような施術を加える。

11診:睡眠薬を飲まずに眠れる日も出てきた。

12診:睡眠薬を飲まずに眠れるようになった。

13診:寝つきもよくなり、睡眠薬を飲まずに安定して眠れているため、施術を終了とした。

考察

頭と首の境目に強い緊張があったため、頭と身体の熱の循環がうまくいかなくなっていたと考えられる。背中の緊張も強く、呼吸が浅くなりがちだったことも、熱の循環の妨げ、不眠の要因となったと考えられた。

3.下半身が重だるくなる生理痛

患者

40代女性

症状と来院理由

生理時に下半身が重だるくなる。全身の倦怠感、強い眠気と下腹部痛。友人が生理痛に鍼(はり)が効くと勧められ、来院。

治療内容と経過

初診:身体の冷えと、みぞおち、下腹部に強い緊張があった。冷えに対して、ひざ近くのツボに鍼をした。お腹、みぞおちをゆるめるためにも足に鍼をした。鍼をして5分ぐらいで、身体があたたかくなることを感じた。お腹もしっかりやわらかくなった。

2診:初診の次の日に「眠さもだるさも腰痛もほとんどなく、全然いつもと違ってびっくりした」とのこと。同様にお腹をゆるめる鍼をした。

5診目:4診後、2回目の生理が来たが、つらい症状がほとんどなかった。症状が改善したため、施術を終了とした。

考察

冷えがあり、全身の血流があまりよくなかったと考えられます。おなかをやわらかくして、全身の冷えを改善する治療により、早期に改善した良い例でした。

4.腰痛、頭痛、眠気、吐き気、倦怠感、恥骨痛、様々な症状が出る生理痛

患者

20代女性

症状と来院理由

生理前に気分が落ちこむ。生理時、腰痛、ひどく眠くなる。頭痛、吐き気、全身倦怠感、眠気。立ち上がり時の恥骨痛。排卵日にも気分の落ち込み、眠気はある。

今回生理三日前よりめまい、だるさ、寒気や頭痛があり、仕事に行けなくなった。現在も下腹部の重だるさ、ゆれているめまい、頭痛、お腹から下肢にかけて寒気がある。ここまでひどいのは今回が初めてで、鍼(はり)を試してみようと来院。

治療内容と経過

初診:下腹部、下肢が冷たく、首肩の緊張が強い。下腹部の緊張を緩めるため、足に鍼をする。めまいは首肩の緊張によるものと考え、首肩を緩めるために、ひざ横のツボに鍼をする。下腹部の重だるさが軽減し、お腹から下肢への寒気はなくなった。

2診:初診の次の日、とても体調がよかった。頭痛も下腹部も大丈夫だった。まだ、おなかに硬さがあったため、足のツボに鍼をして、おなかをやわらかくした。

5診:3日前に生理がきたが、下腹部の痛み・重だるさはなく、頭痛・吐き気・腰痛はなかった。眠気とだるさはあった。

11診:恥骨痛や、下腹部の痛みはなくなった。眠気とだるさはあるが、日常に支障のあるものではないため、施術を終了とした。

考察

立ち仕事のせいか、お腹はもちろん、足、お尻の緊張が強かった。そのため、お腹や下肢の血流が悪くなっていたと推察される。足やお尻の緊張は首肩の緊張につながり、めまいや、冷えにつながる。身体の緊張がゆるんだことにより、血流が改善し、生理前・生理時に起きていた様々な症状が改善したと考えられます。

5.長期間ピルを服用し、症状が改善しなくなってきて、ピルの使用をやめたい

患者

30代女性

症状と来院理由

5年前に月経困難症と診断され、ずっとピルを服用している。ピルを飲んでいても生理2週間前より、気分が落ち込む。イライラして家族にあたってしまう。生理直前から終わるまで下腹部痛がある。ロキソニンを生理1,2日は飲む。排卵痛もある。ここ2,3か月は朝ベッドから起きるとくるくるまわるめまいもある。

ピルを飲んでも症状が改善しないようになったと感じ、将来を考えるとピルの服用をやめたいと来院。

治療内容と経過

初診:生理1週間まえの来院。下腹部と、ウエスト当たりの緊張がとても強く、軽く押すと痛みがある。緩めるために足首のツボと、手にはりをする。お腹がとてもあたたかく、やわらかくなる。

2診:初診後、生理があった。痛みはあったが、薬を飲まずに過ごすことができた。同様に腹部の緊張をゆるめる施術をする。

5診:2回目の生理があった。いつもは10日~1週間前から気分が落ち込むがそれがなかった。ちょっと疲れたな程度だったため、生理が来ると思わないほどだった。痛み自体も軽減しており、「とてもうれしい」とのこと。

8診:事前にある下腹部痛はなく、生理が来た。めまいもなくなっている。気持ちも大丈夫。

15診:同様の施術を続け、下腹部痛も軽くなり、排卵痛もなく、気持ちも安定している。ピルも10診で服用をやめた。症状は安定しているため、施術を終了とした。

考察

おへそから下の緊張がとても強く、冷えていた。おなかのあたたかさが保てるようになるにつれ、症状は軽減していった。症状が軽くなるとともに、気持ちが明るく、積極的になられた。ご自身で運動を始めたり、あたためるようにセルフケアを始めたことも、症状の改善につながったと思います。

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